本の感想
まさかのタイムトラベルものだった。
実は先立ってネットフリックスでドラマ「私立探偵ダーク・ジェントリー」を観た。ドラマにはタイムマシンが出てきていた。
普通に考えたら、原作小説にタイムマシンが出てくるからそのドラマ版にもタイムマシンが出てくるのであり、まさかの展開と言うのはおかしいかもしれない。予想がついたはずだ。
けれど、ドラマと小説の内容が、登場人物から舞台から何から何まで違っており、全く別のものと理解して読み進めていたので、謎解きの答えがタイムトラベルで驚いてしまった。
そして、これはミステリーというよりSFに分類されるのかな。タイムトラベルといえばSFだものね。面白いといえば面白かったけれど、最初の方はそれほどだったような気がする。後半の謎解きは楽しく読んだ。
あらすじ
主人公リチャードの上司ゴードンが電動修道士に射殺される。主人公は自分で入れた留守番電話のメッセージを消すためにゴードンの妹である彼女スーザンの家に空き巣に入る。そこに全体論的探偵のダークから電話がかかってくる。主人公はダークと共に行動し、不思議な出来事の謎を解いていく。
オチ
46億年前の地球に来た異星人の亡霊が取りついたせいで、リチャードは空き巣に入るという本来の自分ならやらないような行動をとったことがわかる。ゴードンを射殺した電動修道士は亡霊が持参した機械であった。亡霊はタイムマシンを使い46億年前に戻る。ダークはタイムマシンを使い、詩人のコールリッジを訪ね「クーブラ・カーン」の詩作の邪魔をすることで、46億年前に戻った亡霊が地球を自分のものにすることを阻止する。
何が面白かったか
- 言い回し
- 世界観
- 最初のページに「母へ。馬のところが気に入ったと言ってくれたから。」と書いてあるところ
- 望む結論を指定すると、いかにも筋の通って聞こえるステップをもっともらしく連ねて、前提と結論を結びつける意思決定支援プログラム
- ダークの能力
- レジのキャラクター
- タイムマシンの形状がどこでもドア、時空を指定する入力装置はそろばん
- 最後の方で、前半のよくわからない部分の謎が解けるところ
- ソファーについて
面白く感じたのはなぜか
- 会話がウィットに富んでいる。人の意表をつく新しい見方、意地悪ではない辛辣な意見、的確だが突拍子もない例えが多く出てくる。
- 会社の会計情報を音楽で表現する機能など、何に使うかわからないことが必要とされる世界。現実の世界も何で必要なのかわからない機能が必要とされていたりするので、それと重ねて面白く感じる。
- 馬のところはそれほど重要じゃない気がするのに、そこを気に入ったというのに面白さを感じる。そして、その理由でこの小説を母に献呈するところ。
- やりたいことに対して理屈づけをしてくれるプログラムを必要としている組織や人間はどこにでもいるし、人間が頻繁に脳内で行っている意思決定の仕方だから。
- 突飛であり、論理的であるようなないような、よくわからない謎の能力に魅力がある。
- 優しくて大らかで人柄が良いので、好ましく感じた。
- ドラえもん。とても良く知っているタイプの秘密道具。想像も容易い。
- よくわからなかったことが、解るようになっていくことに快感を感じる。
- ソファー好きだな。と、さもダグラスアダムスのことを知っている人のような気持ちで思えて楽しい。
面白くなかったところ
- 最初の方、電動修道士などよくわからな過ぎて、読み飛ばしたくなる
- タイムトラベルできるなら、何でもできてしまう
- マイクルの行動がコールリッジの詩にのっとっているというのが良くわからなかった(コールリッジの詩が全くピンとこないせいかもしれない)
- 亡霊と幽霊が出てきて、混乱する
よくわからなかったところ
- ゴードンは木曜日の夜に死んだ。最終的に主人公は金曜日の宵の口に戻った。ということは、ゴードンは死んだままなのだろうか。それとも猫のロドリックのように違った最期になったのだろうか
おわり
本を読んだら、3行程度であらすじをまとめ、オチをメモし、面白かったところとその理由を書き出しておく。面白いところと、その理由はカードにしておく。